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いのちのうた2017を見て考えたこと

 

確かにそこに生きるひとり

 私が10歳の時に亡くなった祖父は、実際に戦地に行った経験があったと言っていた。ただ、私が幼かったからかも知れないけれど、戦争について語っているのを聞いたことは一度もなかった。祖母の生まれ育った瀬戸内の海辺の町は真珠湾攻撃のための秘密の練習をする湾だったらしく、飛んでいる飛行機をみると、やってやれ!成功しろ!と思って生活していた血気盛んなタイプの勝気な少女だったそうだ。そんな中でも同級生の男の子とのロマンスもあったのよ、神社の石段で話したりしてね、モテたのよ、と話す。

 いのちのうたを見ながら、もしかしたら私は戦争だけ時代から浮いた1つの出来事として捉えていたんじゃないかと思って反省をしていた。そうか、戦争の前にも戦争の間にも戦争の後にも人々の生活はあったんだよなと、当たり前のことを思った。

去年「この世界の片隅に」をみた時に、本当に苦しくてうえうえ気持ち悪い感じの泣き方をしちゃって、なぁーにが日常系だよ!と半日くらい廃人になって、消化できないままに向き合うとしんどいという理由で1年そのままにした。で、いのちのうたを観て、コトリンゴさんの歌を聴きながらもう一回考えた。何であんなに衝撃だったんだろう、何が苦しかったんだろう。

なんとなーく分かったのは「ああ私戦争は知ってるかもしれないけど、ひとりひとりについて全然考えが及んでなかったんだな」ってことだった。小学6年生くらいの時にはだしのゲンが流行って、戦争に興味を持って図書館の本を片っ端から読んで、分厚い詩集とか治療記録みたいなのも読んで、戦争について知識は得ていた。知った気になっていた。

多分「戦争」のことしか知らなかった。

戦争と人との関係しか気にかけてなかった。祖母のように恋をしたり、すずさんのように絵を描いたり、空想したり、干潟で泥だらけになって遊んだり、料理をして、失敗して、笑って、泣いて。どこにでもいる普通の人が、今では自分を優しい笑顔で包んでくれる人が、人の死を願う。私たちと同じように笑ったり泣いたりしながら生きているだけなのに、生命が脅かされる。そこが抜け落ちていた。だから突然そのことが身に迫ってあんなに苦しくなったんだと思う。

怖いなあ、やっぱり戦争は怖い。

経験者の方が周りからいなくなって、もっと日常から切り離された経験になっていくことが怖い。聞かなきゃ、と思った。

 

 

善と悪とほんとうのこと

 きっと戦争をやるって決めると、するっと、いとも簡単に始まっちゃうんだと思う。そして始まっちゃったら大部分の人が頑張ろうとするんじゃないかなあとも思う。

スポーツの中継でも、いくら戦況が不利になってても「まだまだこれからですね!」って言うじゃない。「結果的には負けましたけど非常にいい勝負でした、次回の試合に期待したいですね」って。一生懸命戦ってる選手がいたら、諦めずに応援しないでどうするって話だし、実際自分も割と大丈夫頑張れ!って言うタイプなんだけど。これ、戦争だったら、いのちのかかった勝負だったら、言わなくなるのかなあ?本当に言わないでいられるかなあ?そういう疑問が湧いてくるのを抑えられない。全ては命をあってのことだから、試合と戦争では性質が全く違う。そんなことはきっとみんな分かっている。だけど、その場に立った時に、私はちゃんと線を引けるだろうか。

きっと旦那が人の命を奪って帰ってきても、お疲れさま、お風呂入っておいで、今日好きなごはん作ってるからって笑顔で迎え入れるんじゃないかな。いってらっしゃい、しっかり働いてきてねって送り出すんじゃないかな。心身ともにずたぼろになって帰ってくる旦那を前にして、戦争は悪いって分かっていても、そんなのよくないよ一緒に逃げようって言えるかな。

国語の教科書を思い出す。羅生門で死人の服を剥ぎ取った老婆は悪人だろうか。ウミガメと少年で守ろうとしていたはずのウミガメの卵を一心不乱に食べてしまった少年は悪人なんだろうか。戦争で人を殺めた人は悪人なんだろうか。じゃあ、戦争をすると決めた人は。爆弾を落とした人は、祖父の叔父の命を奪った人は、悪人なんだろうか。もしかしたら、めっちゃお腹壊してて飛行機乗りたくないな〜ちくしょ〜〜〜って思ってたかもしれないし、娘の誕生日だったかもしれないし、友人を亡くしたばかりだったかもしれない。私の祖父も、誰かの大切な人の命を奪っていたのかもしれない。

敗戦国が72年間を重ねたのと同じように、戦勝国にも戦勝国の72年間があったはずだと思いを馳せる。

 

あいつは嫌な奴だと ぼくらは言う

ぼくらをおびやかす悪い奴だと

でも ほんとうのことは 誰にもわからない

 

ほんのひとかけらの出来事で

ほんのひとかけらの言葉で

ぼくらはいったい 何をいったい

かるというのだろう

 

          (ほんとうのこと/石川さゆり

 

分からない。石川さゆりさんの歌を聴きながら、分からないなあと思った。分からないから、分かりたいと思う。しんどいけど。

 

 

 

 ジャニーズを起用することと次の世代に繋ぐこと

今回私はこの番組をNEWSの加藤シゲアキさんがMCをするということで知った。

最近までみんなのうた新妻聖子さんの「天地の声」が流れていたし、コトリンゴさんも出演されていたし、番組があるって知れば必ず見た内容だ。でも、NEWSを知らなければ、時間も時間だしこの番組を知ることはなかったかもしれない。こうして戦争について考えてブログを書くなんてこともきっとなかった。NHKがNEWSの加藤さんをきっかけにして番組を見てほしい、そこから戦争について考えてほしいと思っていたとしたら、まったくもってその通りのことが自分に起きた。

ジャニオタなるものになってから、ジャニーズを起用した時の「またジャニーズで視聴率狙って。販売数増やそうとして」みたいな批判がどうしてもわからなくて。装苑で増田さんのデザインしたNEWSの衣装の特集を組まれた時にも同じような意見を目にして分かんないなあと思って。街をふら~っと歩いていて外見が気になって入ったカフェの味がすごい好みで行きつけになった上にコーヒーが趣味になった、みたいなのじゃ嫌なのかなあと考えてしまう。なんとか次の世代に繋いでいこうと考えた時に、架け橋になりうる存在として加藤さんの名前があがったことはすごいなありがたいなと思うと同時に、ぴったりだなって思った。アイドルだし、朝の番組のコメンテーターだし、作家でもあるし、作詞作曲もするし、梅干しだって漬けるし、マグロだって釣る(まだ釣れてないけど)んだもんな。ハンサムだし。NEWSの中でも色んなことを噛み砕いて自分の言葉でファンに伝えてくれる。人の間に立って、話を聞いて、伝えるのがとても上手い。

 

 

いのちのうた2017では、NEWSとして「U R not alone」、加藤シゲアキとして「あやめ」が歌われた。いずれもアルバムNEVERLANDの収録曲であり、シングルカットはされていない。

NEWSを日々応援する私にとってU R not aloneの合唱は本当にどうしても叶ってほしい夢だった。そんな記事を書いたら、偶然にも一緒に歌った子がブログを見つけて、コメントをくれた。この歌に力をもらった子がいることがとてもうれしかった。そしてやっぱり合唱になったU R not aloneはすごかった。強い。ああできることなら広島のこの会場の空気を感じながらこのメンバーで合唱してほしかったと思った。いのちのうたでNEWSが合唱した「U R not alone」を届けたい - 世界で一番平和なところ 

長崎の鐘」を歌う前に、新妻聖子さんが永井隆さんの「長崎の鐘」を読んでから曲を聴いた時に、復興の歌なんじゃないかと思ったと話していて。「人間ってね、傷ついて倒れてしまうこともあるけれども、自分の足でもう一度立ち上がって、頑張る、っていう強さをもってる」ということを感じたと。なんとなく、U R not aloneを思い浮かべて、平和のために歌うには少し強すぎるんじゃないかなんて考えていたけれど、そんなことなかったのかもなあと思った。

あの日つまづいて

しゃがみこんでしまうほどの痛みさえ

わきだして かけだして

助走に変えて いけるように

 

      (U R not alone / NEWS) 

 

歌が歌い継がれていくように、その中で人々を支えるように、戦争のことも平和の大切さも、そこから立ち上がってきた人の姿も、語り継ぎ、次の世代に繋いでいければいいのかなあ。

 番組の最後の曲はMCの加藤シゲアキ自身が作詞作曲をした「あやめ」。どんな言葉で説明されるよりも一度見てもらったほうが伝わると思う。言葉にすると大事な気持ちが崩れちゃいそう。時間も国も年齢も性別も越えた、すべてのいのちに対する祈り。私はそう受け取った。

 

 

再放送を期待しております

土曜の昼に旦那と録画してあった「いのちのうた」を見た。南こうせつさんのゆるくて大きな雰囲気に一緒に笑い、新妻聖子さんの「長崎の鐘」では聴き入り、コトリンゴさんの歌を聞いて「この世界の片隅に」を見たいなあと言っていた。上映中のところには間に合いそうにないけれど、9月にDVDが発売されたらきっと買うんだと思う。

ああもっと、たくさんの人にこの番組を見てもらえたらいいのになあ。そう思った。NEWSがきっかけで見たけれど、本当にいろいろと思い巡らせる時間だった。

深夜ではなくて、できれば幅広い年代の方の目に留まる日中に。どうかよろしくお願いします。

 

(あと直虎毎週楽しく見てます、お世話になっております)(Eテレにも大変お世話になっております大好き)(麿に会いたい)

 

 

 

 

 

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