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舞台「グリーンマイル」が凄すぎてしんどかった

 

ご縁があって、舞台「グリーンマイル」観てきました。

そういえば、加藤さんがグリーンマイルをするって情報が解禁されたのは増田さんの誕生日だったなあとか、文庫版Burn.の発売日が当落だったなあとか、そういうことを思い出していました。

舞台の内容や演出にがっつり触れていますので、良いようにお願いします。今でもぐるぐるしているので内容もぐるぐるしています。

 

 

グリーン・マイル

 

 

 

 加藤さんが演じるということで観に行きましたが、出演される全ての役者さんがとても魅力的で。一人一人それぞれの死との向き合い方があって、自分とは合わないなあ嫌いだなあと思いはしても、どれも分からなくはないものでした。

 伊藤俊輔さん演じる看守のパーシーは、死刑囚に対して超絶上からで舐め腐った態度をとるわ、私怨からデラクロアの死刑執行の時にスポンジを濡らさず焼き殺すわ、ポールにちょっと怒られたら親に告げ口して上司から注意がくるわ、疑いようがない完全なるクソ坊っちゃん。でも、俺だってやっちゃえるんだぜ、こんなことまでできちゃうんだぜって分かったふりをして強がることで、人を命を終わらせることの恐怖から逃げているような気がしました。「人の命を奪える」ことを証明することで、環境だけで経験も知識も無い自分を守りたいような。エリート家系であるプレッシャーとか奢りとか、捨てきれないプライドとか、良くも悪くもある種の鎖から逃げてるんじゃないかなあ。「嫌な奴」なんだけど「さみしい人」「弱い人」という印象。めっちゃムカつくけど、嫌いになりきれない。

 小野寺昭さんが演じるのは、穏やかで仕事では冷静沈着なのに妻の死となると動揺してしまって冷静さを失う所長。命を奪う死刑を指示しながら妻の命が助かることを祈るってどういう感じなんだろう。

 看守の一人であるブルータスは仕事だから死刑を執行すると明言します。仕事だからやるんだと言い切る。それも一つの向き合い方だよなぁ。善意と良心だけで生身で向き合うには、人の命は重すぎる。

 もう一人の看守ディーンは子どもが産まれたばかり。毎日子どもの圧倒的な「生」に触れながら仕事で「死」と向き合う。彼はその狭間でもう殺したくないと叫ぶ。父親になることで出てきた許せないことや、こうありたいという理想の父親像みたいなものがあるのかもしれない。

 死刑囚のデラクロアはネズミを愛し、ふざける。お調子者で、なーんにも分かりません〜みたいな人だけど、決して全部を分かってないわけじゃなくて。ジングルズとかポールとかへの距離感をみてると、なんかたまーにいるすごい人懐っこいんだけどどっか寂しい雰囲気を持った人って感じでサワサワしました。

 

 そんな中でポールは逃げも隠れもせず真正面から向き合っているように思いました。罪を憎んで人を憎まずなのか、死刑囚ときちんと人として接しているというか。でもパーシーへの過激なまでの拒否を見ると確固たる倫理観なのかもしれないし、それが死刑執行を繰り返してきたポールが辿り着いた向き合い方なのかなぁ。

 

 正面から向き合う人もいれば、距離を保ちながら周りをくるくるする人も、後ろからそっと近づいてじっと様子を伺ってる人もいて。私は生と死はとても個人的なことだからどの考え方も等しく尊重したいなんて思っていました。嫌いなものは嫌いだし、分かんないものは分かんないし分かりたくもないけど。観てた時はもう衝撃というか、しんどさでそんなに考えられてなかったけど、言葉にしていくとちょっとずつ整理されるから不思議。

 自分が職業柄向き合ってきたっていうのも大きかったのかもしれない。自分含め同僚たちも、笑いに変えないとやってられないほど追い詰められることもあるし、責任の重さに逃げ出したいこともたくさんあるし、全て分かってるから平気だって人だっているし、割り切って進まなきゃいけない時もあるし、自分の不甲斐なさに隠れて泣くことも同期とか先輩に慰められることもあるし、誰かに話さなきゃ乗り越えられないことも、自分で乗り越えなきゃいけないこともありました。医療職でも患者側でもそうだけど、「いい最期を迎えられるように」って思うベースが一緒でも、何をいい最期とするかとか、外に見せる姿とか、道筋は人それぞれだから、難しいけど表に出てる部分だけで否定はしたくないなぁ。でもこれは甘えかなぁ。

 

 

あ!あと、これはどうしても声を大にして言いたい!

やべえ奴いた!(心から褒めてる)

 鍛治直人さん演じるウォートン。死刑囚の一人で、把瑠都さん演じるコーフィの無実の罪(多分)の真犯人。あの感じをどうやって言葉にしていいのか上手く言えないけれど、怖いとかのきちんとした言葉じゃなくって、「やべえ」が一番しっくりくる気持ち悪さ。ほんとに視線がずっとやばかった。身体も鍛えられて筋肉質だし、頭も回るし、ダメダメなやべえ奴じゃなくて本気で動けるやべえ奴でした。台詞が他の人に移っても、ずっと気持ち悪くて、一瞬も逃さずウォートンのままで。パーシーを冷やかしてお漏らしさせた後にずっと自分の股間を擦り続けてたところとか、コップ一杯の睡眠薬入りコーラをありがたそうに飲んで指で拭ったあとその指をずーっと、台詞が横に移ってもずーーーーっと確認しては舐めてしゃぶってたこと。寝返り一つまでやばかった。夜道で前から歩いてきたら絶対逃げなきゃいけないタイプのやべえ奴。もう怖くて怖くて。舞台の中で、ウォートンも死ぬのが怖いんだなっていう台詞があってハッとしたんですけど、やっぱり怖かったです。

 ほんとやべえ奴だ…この人実は本当にやべえ人なんじゃないかって思っていたので、パンフレット読んで負けた!!!ってなりました。役者さんってすごいなあ。

 

 そして、自分の中で分かるようで一番よく分からなかったのがコーフィ。

 コーフィは無実の罪なのに何で殺されなきゃいけないんだって言うけど、コーフィだって殺人を犯している訳で。看守長の奥さんの病を吸い取った彼は、パーシーにその「悪いもの」を飲ませ、気が狂ったパーシーは突然銃でウォートンを撃ち抜く。何ならグリーンマイルの2大嫌な奴と言っても過言ではない2人を一発退場させる。でもコーフィは罪には問われないんですよね。人を救っているから1つくらい命を奪ってもいいのかとか、デラクロアやウォートンやパーシーがしたことと何が違うんだろうとか、殺される人が誰からみても悪人で罪のある人なら殺してもいいのかなぁとか、その人の人柄とか人望で罪の重さが左右されるとか怖すぎる…とか、コーフィの死刑嫌だ!そんなに純粋なのに!やめて!!って気持ちと一緒にいろんなことを考えてもやもやもやもやしていました。そのおっきい身体は優しさと純粋さと繊細さだけでできているんじゃないかと思うけど、命を救うことも与えることも奪うこともできて、生き返らせることを「もとにもどそうとしました」っていうコーフィは、もしかしたら一番純粋だけど一番怖いかもしれないなぁと。

 しかも、デラクロアとコーフィに対しては同情とか哀れみから命を奪いたくないという感情が湧き出てくるのに、パーシーとウォートンに対して嫌な奴だから死んでしまったり酷い目にあってもまあ仕方ないと思う自分にも怖くなりました。

 

 

 映画のグリーンマイルは怖くて飛ばしながら観た割と熱心ではないタイプですが、死刑台の向かう先には見届け人みたいな、多分関係者の方々が座られている座席があったことは覚えていて、舞台では私達が見届け人の位置にいます。

 ポールが潤んだ声で言葉に詰まりながら「第2スイッチ..….オン」と言った時、ポールにこんな辛い思いで第2スイッチを押させてるのは私達なんだ、死刑は民主主義だっていう台詞があったけど、私達が間接的に殺してるんだ、というか殺させてるんだ、みたいな気持ちになりました。それまでのコーフィとポールのやり取りや、何度も繰り返されるコーフィの綴りの話や、ボスじゃなくていいよって言ってもポールのことをボスって呼んじゃうことや、2時間かけてゆっくり追ってきたコーフィに対する感情の変化を思い出して胸がぎゅっとなって。無実だと思う人の、しかも心を通わせた人の命を奪うスイッチを入れるというのはどれだけの辛さなんだろう。そう思う一方で、でも、ポールにできることは誠実に命と向き合って自分のできる範囲の接し方で送り出すことしかなくて、死刑制度がある限りは絶対に執行する人がいる訳で、どういう方法であっても折り合いをつけてくしかないし、そんなことはポールが誰よりも知ってるんだもんな、と冷静に考えている自分もいました。悲しいでもないし、腹立たしいでもないし、どうしようもない切なさというかやるせない感情でいっぱい。感情がぐちゃぐちゃすぎて泣けないっていう謎。

 

 舞台が終わって、1回目と2回目のカーテンコールは役者さん全員が出てきて礼をして、2回目がはけたところでなんというか雰囲気が変わって、次々に観客が立ち始めて、これは加藤さんが出てくる流れなのかなって空気があって、そんな中ですっと速足で一人の男性が舞台に出てきました。「今日はありがとうございました、気を付けておかえりください」と簡単な挨拶をして一礼した男性は、もうポールじゃなくて加藤さんだし、シゲでした。その時突然「あれ?シゲじゃん!ポールってシゲだったんじゃん!」ってハッと気づいて、帰り支度をしようと振り返ったら、ようやく緊張が解けたみたいにじわっと涙が出て手が震えて、ようやく終わった感じがしました。

  

 退場が始まってからもしんどくて友人と「いやあ、しんどいわ、いやあ...」ってうまく言葉にならないほとんど独り言のようなことを言いながら、一回とりあえず座って。

未だに自分でも何でなのか分からないけど、これはとにかくパンフレットを買わなきゃいけないと思ってフラフラと半ば浮遊する感じで、いつのまにかパンフレットを抱きかかえていました。

 

 なんていうか、どうしてもこの結末から逃れられなかったんだとしたら、ポールが執行人でよかった。そして、加藤さんがポールでよかった。このメンバーのグリーンマイルを観ることができてよかった。まだまだ思い出すと咀嚼しきれてない気持ち悪さももやもやした気持ちも残っているけど、それだけははっきり分かります。

 

 グローブ座での「グリーンマイル」お疲れさまでした!とてもしんどかったけど、観ることができて本当に良かったと思っています。

 京都公演も最後まで駆け抜けられますように!

 

 

 

 

 

 

 

 

観ていた時はグリーンマイルの雰囲気にやっつけられてひたすらに辛かったんですけど、後から思い返していたら違うしんどさが溢れてきたのでそれだけそっと成仏させます~!ただのオタクの叫びです~!

顔がめっちゃ綺麗!顔っていうか表情!オールバックいい!サスペンダー!!!

体型が30代半ば~後半に見える!威厳!あふれ出る看守っぽさ!嫌われる勇気の時も警察官すごいハマってたけどちょっとかっちりした仕事すごいハマる!

いやでもダメダメなカメラマンも好きです!

左指の指輪しんどい!っていうか妻って単語しんどい!

水道管の都合(尿路感染症)で妻とそういうことができないんだってしんどい!

股間!!!!股間!!!!!!

くしゃって笑うの最強!

小山さんから紫のお花が届いたってどういうこと?

東京の千秋楽に手越さんと増田さんがそろって観に来たってどうい(略)

NEWS全員がグリーンマイル観に来(略)  

ありがてえありがてえ… 

ではでは さよ~なら~